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日本のウミガメの現状と各地の取り組み
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各地の抱える問題

●屋久島

 屋久島は世界自然遺産に登録されて以来、急速に観光客の入域が増えています。屋久島ウミガメ研究会(現、NPO法人屋久島うみがめ館)は1985年より島の北西部にある永田の田舎浜と前浜でアカウミガメを中心にその産卵を記録し、この周辺が日本最大のアカウミガメの繁殖地であることを明らかにしてきた他、多くの生態を明らかにしてきました。ところが、観光客が増加するとともに、産卵期の夜の砂浜の管理が難しくなり、地元の自治会にあたる永田区が協力金をとって観光客に産卵を見学させる活動を始めました。日本でウミガメの産卵を見るのに金をとる唯一の場所となったわけです。そこで、屋久島の永田には、調査研究する屋久島うみがめ館と有料の見学会を実施する永田区の二つの団体がウミガメに関わることとなりました。また、屋久島では有料でエコツアーを営業する業者があります。これまで、すべての人に見る権利があるとされてきた自然が、さまざまな形で経済活動に取り込まれようとしています。今後、ウミガメ、そして砂浜、その地域に住む住民の幸福、調査研究、観光客のウミガメを見たいとする欲求をどう整理していくのか。地元の判断が問われる大きな問題です。一方、多くの人間が砂浜に入ることにより、砂浜が踏み固められるため、子ガメが孵化する際、砂から脱出しにくくなったとする指摘もなされるようになりました。

 

●宮崎

 宮崎市から高鍋町の海岸線は、かつては一様の美しい砂浜が続いていました。そこに大きな問題が生じています。砂の侵食です。原因としてもっとも可能性の高いのは、大淀川河口の北側に造られた宮崎港です。港とは船の係留のために波や潮流を静かにした海域です。そのため、港の中には砂がどんどん堆積します。また、作られた 防波堤や突堤は海中の砂の移動に変化を与えます。その結果、宮崎では港の北側で急速に砂の流出が始まりました。行政はその砂を取り戻そうと、侵食の起こった砂浜の沖に離岸堤を設置して砂の流出を止めようとしました。すると、今度はさらにその北の砂浜の砂が流失し、さらに離岸堤を設置するという悪循環が続いています。ちょうど、シーガイアがある辺りの一つ葉海岸あたりは、かつては白砂青松の美しい砂浜でしたが、現在は波が緩傾斜護岸を波が洗っています。宮崎野生動物研究会の調査によると、ウミガメの産卵は徐々に北にシフトしてきているそうです。今後、この砂浜がどう変貌していくのか、そして、それに人間はどう対応していこうとするのか。非常 に大きな問題です。

●徳島

 徳島の日和佐、蒲生田は古くからアカウミガメの産卵する砂浜として有名でした。ところが、かつては数百回あった産卵も現在では20回以下に減ってしまいました。 南九州の砂浜では1998年頃より産卵回数が増えているにも関わらず、徳島の砂浜での回復は見られません。原因は、蒲生田の沖の離岸堤、漁業による混獲、砂浜の環境悪化など、様々な要因が考えられます。日和佐にとってアカウミガメの産卵は重要な観光資源です。それを守るために、今後、どのような対応を行っていくのか。重要な問題です。

●愛知・静岡

 愛知県渥美半島から御前崎さらにはその駿河湾側の相良町にかけての海岸は、日本でももっとも長い砂浜が続く海岸線です。ところが、豊橋、新居、御前崎など、地域によっては激しい侵食が見られます。また、侵食を防ぐ目的で設けられた離岸堤は、 周辺から砂を寄せてしまい、周辺の砂浜の侵食を招くという事態に陥っています。砂の採取やダムの建設による砂の供給量の減少などが、原因として上げられますが、今後、この海岸線をどのように維持管理していくかによって、アカウミガメの将来も大きく左右されます。

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