「今後の港湾環境政策の基本的な方向について(案)」に関する意見
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平成17年3月2日
〒573-0163 大阪府枚方市長尾元町5-17-18-302
NPO法人 日本ウミガメ協議会 会長
東京大学大学院農学生命科学研究科客員助教授
亀崎 直樹
TEL:072-864-0335, FAX:072-864-0535
http://www.umigame.org
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私が会長を務める特定非営利活動法人「日本ウミガメ協議会」は、ウミガメおよびその周辺生息環境の保全を念頭に活動する団体です。ウミガメ類の保全に関し、港湾環境政策は非常に重要な案件であり、この度、募集されました「今後の港湾環境政策の基本的な方向について(案)」に関する意見を、提出させていただきます。
まず、「今後の港湾環境政策の基本的な方向について(案)」を拝見し、環境保全の方向性を強く感じることができ、ウミガメおよびその生息環境の荒廃を憂いている私どもにとっては、まことに喜ばしいものと考えます。
しかし、その中で気になることがありましたので、以下に書き留めさせていただきます。
1 港湾環境政策の地理的範囲の定義がされていないことが気になります。
日本本土で繁殖するアカウミガメ(環境省レッドデータブックにて絶滅危惧Tb類に指定)の繁殖地において、港湾の建設によってその繁殖地としての機能が失われつつあるところがいくつかあります。
例えば、黒島西の浜(八重山諸島)、水納島(宮古諸島)、沖縄島恩納村塩屋海岸、鹿児島県志布志湾、宮崎県宮崎海岸、熊本県天草白鶴海岸、高知県室戸市元海岸、愛知県豊橋市遠州灘海岸、静岡県御前崎海岸などでは、砂の侵食によって砂浜が衰退し、ウミガメが産卵できない状態に至りつつあります。これらの地域での砂の侵食は、すべて付近に建設された港湾に原因があるのではと考えられています。つまり、港湾の建設により、漂砂の移動に変化が起こり、砂の堆積に変化を引き起こすと判断できます。
特に、著しいのが、宮崎海岸、元海岸、御前崎海岸で、それぞれ、宮崎港、室津港、御前崎港の建設(拡張)が原因と判断されます。具体的には、宮崎港はその北に伸びる海岸から砂を消失させ、その影響は北へ北へと伸びています。一方、高知県室戸市元地区の砂浜は、その東方で行われている室津港の拡張工事によって、消滅しつつあります。さらに、御前崎海岸も岬の駿河湾側に出来た御前崎港の影響で、岬を取り囲むようにして存在した砂浜の大部分が消失しています。これらの海岸では、ウミガメが産卵できない、あるいは産卵しても孵化しないという問題がおきており、アカウミガメの種の存続において重要な問題になりつつあります。
従って、港湾の環境を議論する場においては、常に港湾のかなり広い周辺に対する影響をも配慮することを盛り込んでいただきたいと思います。
2 再生または創生するとされる自然環境の定義が曖昧であることが気になります。
今回、失われた自然環境を再生あるいは新たな自然環境を創出することが盛り込まれたのは、非常に評価できることと歓迎いたします。しかし、再生あるいは創出する自然環境の質的議論が全く行われていません。
現在、日本各地では人工海浜が作られており、その中には、ウミガメの産卵場の再生を念頭においたものも見受けられます。しかし、安易に再生された砂浜と自然の砂浜は質的に異なっています。自然の砂浜とは、常に砂が波によって洗浄されているのに対し、人工海浜の砂は堆積したままの状態であるため、時間の経過とともに砂が固結してしまうのです。
これは、人工海浜を単に海岸線における砂の堆積と考えていることに起因すると思われます。本来の砂浜は前述したような砂の流出洗浄と堆積を繰り返す動態であり、そこには多くの動植物も加わり生態系という微妙なバランスを形作っています。つまり、砂浜を再生するにはそのバランスの再生が必要になるわけです。
従って、本文書中においては、安易に自然再生とするのではなく、生態系の再生を目指す観点を加えていただきたいと思います。
以上、意見を述べさせていただきました。
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(C) 特定非営利活動法人日本ウミガメ協議会,2005,Japan
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日本ウミガメ協議会意見書1 |